
沖縄返還50周年を記念して制作された「ドリームペン 堆錦」。
琉球王朝から受け継がれる伝統技法「堆錦」を用い、沖縄の歴史と文化を感じさせる意匠を、万年筆の上に生き生きと表現しました。

堆錦とは
総貼り


「総貼り」とは、加飾を施す器全体に、シート状にした堆錦餅を貼り付ける技法です。厚みの出やすい堆錦餅を、薄く均一に貼り付けるには高度な技術が求められます。一方で、型押しや彫刻など、さまざまな加飾表現が可能になるのも総貼りの特徴です。さらに、貼り付けた堆錦餅の上に別の堆錦餅を重ねることで、立体感のある重厚な加飾に仕上げることもできます。
琉球漆の歴史
沖縄の古い文献には1427年に明の皇帝宣宗が沖縄から漆を購入したとあり、当時すでに漆技法があったと考えられています。 1429年の第1次琉球王国では、漆器製作のための貝摺奉行所(かいずりぶぎょうしょ)が設置されました。
政治と祭祀の結びつきが極めて深い沖縄では王族や士族だけではなく、地方でも漆器や漆の装飾品は儀式や祭礼に欠かせない品でした。 特に薩摩藩の侵攻後には幕府への献上のため、朝貢貿易のため、琉球王府は貝摺奉行所を直営とし、拡大のうえ生産強化に努めました。薩摩藩の属国だった時代には中国に幾度か工匠を派遣し、「螺鈿」「沈金」「蒔絵」などのさまざまな技法を取り入れました。
その結果、比嘉乗昌という工匠が1715年に中国の素朴な技法を基に「堆錦」という沖縄独自の加飾法を編み出したのです。
双竜
幸運をもたらす伝説の双竜は、シーサーと共に沖縄を代表する象徴です。
この万年筆を手にすることで、沖縄の歴史と文化文化をより身近に感じることができるのではないでしょうか。


沖縄の歴史
琉球諸島(沖縄)が歴史上の文献に初めて登場したのは中国の正史「隋書」です。 中国の冊封体制のもと外交・貿易で栄えた琉球王国は、薩摩藩の侵攻などを経て、1879年に明治政府により解体され今の沖縄県となりました。 その後太平洋戦争がはじまり、戦後はアメリカの統治下に置かれることになりました。 27年にも渡る沖縄統治を経て日本に復帰したのが、いまから50年前の1972年5月15日です。

ハイビスカス
ドリームペン・堆錦コレクション第2弾は、南国の花「ハイビスカス」を堆錦で色鮮やかに表現しました。


沖縄独自の加飾法
琉球漆器で数多く用いられる加飾技法の中でも、沖縄独自の加飾法として知られる「堆錦(ついきん)」。
今作では、黒漆に赤いハイビスカスと朱漆に黄色のハイビスカスを描いた2種類をご用意しました。
どちらも、沖縄らしい鮮やかさと華やかさを感じさせてくれる作品です。
堆錦コレクションは、沖縄の漆工芸に長年携わっている職人が1つ1つ丁寧に仕上げています。
ハイビスカス
ハイビスカスは沖縄の街路樹などいたるところで見ることができ、ほぼ一年中楽しむことが出来る花です。
年中咲いているハイビスカスの花ですが、実はその寿命は約1日しかありません。
古くから沖縄の人々に親しまれ、鮮やかな色彩で楽しませてくれるハイビスカスは繊細な美しさも持っているのです。
月桃
沖縄の息吹が宿る
沖縄と月桃
月桃(げっとう)は、沖縄の文化や風習に深く根付いた植物です。特に「ムーチーの日」として知られる旧暦12月8日には、欠かせない存在となっています。この日、沖縄の家庭では家族が集まり、来る新年の健康と幸運を祈願した後、月桃の葉で包んだ餅を食べます。
ムーチーは、日本の伝統的な米菓子である餅の一種であり、その香りは邪気を払うとされています。そのため、年の瀬には、ほのかに爽やかな月桃の香りが漂っているかもしれません。 堆錦・月桃万年筆は、沖縄の伝統工芸の粋を集めた一本であり、今なお息づく豊かな文化と風習を象徴する存在でもあります。


デザイン
沖縄の夕暮れ時を思い浮かべてみてください。空は深みのある橙色に染まり、海面には沈みゆく夕日の名残が映し出されています。空と海が溶け合い、まるで一枚の絵画のような幻想的な風景が広がります。月桃の葉は夕暮れの光を透かし、緑のシルエットを描き出し、その影は地面に美しい模様を刻みます。海風が島を吹き抜けるたびに、月桃の葉と花が優雅に揺れ、穏やかに流れる時間の中で自然の調和が感じられます。
琥珀色のベースは、まるで沖縄の夕暮れの色を映し取ったかのような深みのある輝きを放ち、そこに施された月桃の葉の緑と淡い桃色の花が、鮮やかなコントラストを生み出します。堆錦・双龍万年筆や堆錦・ハイビスカス万年筆と同様に、この万年筆も立体的な装飾が際立つデザインとなっており、まるでペンそのものが生命を宿しているかのような印象を与えます。
ボディには、透明な漆が施され、その上に立体的な月桃の葉と淡い桃色の花が美しく装飾されています。琥珀色の透明感と堆錦の立体的な表現が融合することで、この万年筆の美しさはさらに際立ちます。
堆錦・月桃万年筆は、沖縄の伝統工芸の粋を集めた一本であり、今なお息づく豊かな文化と風習を象徴する存在でもあります。
盆栽
自然のままに育つ実物大の樹木は粗野なものである。人間が慈しみを込めて形作るとき、初めてその姿と風格は人を感動させる力を得るのだ。
盆栽を育てるのは万年筆の制作や収集と通じるものがある。どちらも愛情をかけて作り上げていくものだからだ。一本の万年筆が使用者の心を映し出すように、盆栽もまた持ち主の内面を体現する。万年筆に塗られた黒漆は、盆栽の背景に溶け込んでいる。鮮やかな緑の葉が枝を彩り、梅の花はささやかに彩を添える。
万年筆に表現されたこの小さな庭園は、沖縄の伝統工芸である堆錦によってつくられています。

盆栽の歴史
盆栽とは鉢に木や葉物、花といった植物を植え、手入れをしながら長い時間をかけて作り上げていく芸術作品です。始まりは中国からもたらされたといわれ、ともに伝播した禅の宇宙観の思想のように、小さな鉢をひとつの世界に見立て自然の縮尺を生み出します。常に成長する樹木の枝を剪定し、時には針金で固定し美しさを追求する。四季の移ろいはもちろん、年月とともに枯れた枝や幹さえも詫び寂びの美しさとして現代においても楽しまれています。
ペン先
ドリームペン 堆錦・盆栽には渓流ニブが標準装備となります。追加オプションで小太刀研ぎや将軍ニブへのアップグレードも可能です。

溜透かし
堆錦・盆栽には溜透かしを施したものもあります。上から透漆を塗ることでより深みと艶を増した仕上がりです。さらに漆の特性として、時が経つほどに透明度が増し松竹梅の色漆が明るく見えるようになってきます。経年変化を楽しむ「盆栽」にふさわしい、いつまでも楽しめる作品です。
寒緋桜(カンヒザクラ)
「堆錦・カンヒザクラ」万年筆は、沖縄の伝統工芸と豊かな自然、そして今なお息づく琉球の精神への敬意を込めて、ひとつひとつ職人の手によって丁寧に作り上げられています。

日本には数多くの桜の品種がありますが、その中でも沖縄に自生する「琉球カンヒザクラ」は、ひときわ個性的な存在です。釣り鐘のように下向きに咲く花と、鮮やかな濃い桃色の花びらが特徴で、本州で親しまれている桜とは異なる趣を楽しむことができます。
温暖な沖縄では、琉球カンヒザクラは1月下旬から2月にかけて見頃を迎え、日本で最も早く春の訪れを告げる桜として親しまれています。また、海岸沿いではなく、山あいや丘陵地で美しく咲き誇る姿も特徴の一つです。
