漆芸の原点
髹漆(きゅうしつ)とは漆塗そのものを指す、あらゆる漆芸の根幹となる技法です。
素地の特色を生かして塗を施す髹漆技法は、下塗りから上塗りにいたるまで多岐にわたる工程に関わるため、経験や知識、そして高い技術を必要とします。
塗りに用いられる漆は中国で栽培、採取された「生漆」を使用しており、油分を含まない生漆での上塗りは、すこしくすんだ半光沢の仕上がりになります。
透き漆より色が濃い生漆での仕上げは、極々薄く、丁寧に上塗りをする必要があります。さらに、何年も使い込むことで艶と深みが増し、螺鈿や蒔絵の美しさが際立ってくるのです。
漆作品の最大の魅力はこの経年変化を楽しむところにあります。
2種類の加飾法
髹漆-螺鈿
螺鈿の上塗りは透き漆ではなく、ろ過しただけの生漆で仕上げています。色の濃い生漆の下から螺鈿が透けて見えるように、上塗りは薄く塗り重ねる必要があるため、職人には高い技術力が必要とされます。
そして、透き漆と同様の質感に磨きあげ、螺鈿がかすむことなく美しい仕上がりにする。職人の根気と技が試されるのです。
髹漆 - 螺鈿には「ドリームペン」と「世界万年筆」の2種類があります。
髹漆 - 金魚
漆芸は塗作業はもとより、色漆での絵付けについても細部に至るまで繊細な技術を要求されます。
絶妙な濃淡で立体的に描かれた金魚は、優雅に泳ぐ様子を表現しています。