
沖縄の歴史
琉球諸島(沖縄)が歴史上の文献に初めて登場したのは中国の正史「隋書」です。 中国の冊封体制のもと外交・貿易で栄えた琉球王国は、薩摩藩の侵攻などを経て、1879年に明治政府により解体され今の沖縄県となりました。 その後太平洋戦争がはじまり、戦後はアメリカの統治下に置かれることになりました。 27年にも渡る沖縄統治を経て日本に復帰したのが、いまから50年前の1972年5月15日です。

琉球漆の歴史
沖縄の古い文献には1427年に明の皇帝宣宗が沖縄から漆を購入したとあり、当時すでに漆技法があったと考えられています。 1429年の第1次琉球王国では、漆器製作のための貝摺奉行所(かいずりぶぎょうしょ)が設置されました。


政治と祭祀の結びつきが極めて深い沖縄では王族や士族だけではなく、地方でも漆器や漆の装飾品は儀式や祭礼に欠かせない品でした。 特に薩摩藩の侵攻後には幕府への献上のため、朝貢貿易のため、琉球王府は貝摺奉行所を直営とし、拡大のうえ生産強化に努めました。薩摩藩の属国だった時代には中国に幾度か工匠を派遣し、「螺鈿」「沈金」「蒔絵」などのさまざまな技法を取り入れました。
その結果、比嘉乗昌という工匠が1715年に中国の素朴な技法を基に「堆錦」という沖縄独自の加飾法を編み出したのです。
堆錦とは
ドリームペン堆錦・双竜
2022年に発売したのは、次の3つのモデルです。
・堆錦 双竜 黒
・堆錦 双竜 朱
・堆錦 双竜 総貼り
幸運をもたらす伝説の双竜は、シーサーと共に沖縄を代表する象徴です。
この万年筆を手にすることで、沖縄の歴史と文化文化をより身近に感じることができるのではないでしょうか。
ドリームペン 堆錦・ハイビスカス
ドリームペン・堆錦コレクション第2弾は、南国の花「ハイビスカス」を堆錦で色鮮やかに表現しました。


沖縄独自の加飾法
琉球漆器で数多く用いられる加飾技法の中でも、沖縄独自の加飾法として知られる「堆錦(ついきん)」。
今作では、黒漆に赤いハイビスカスと朱漆に黄色のハイビスカスを描いた2種類をご用意しました。
どちらも、沖縄らしい鮮やかさと華やかさを感じさせてくれる作品です。
堆錦コレクションは、沖縄の漆工芸に長年携わっている職人が1つ1つ丁寧に仕上げています。
ハイビスカス
ハイビスカスは沖縄の街路樹などいたるところで見ることができ、ほぼ一年中楽しむことが出来る花です。
年中咲いているハイビスカスの花ですが、実はその寿命は約1日しかありません。
古くから沖縄の人々に親しまれ、鮮やかな色彩で楽しませてくれるハイビスカスは繊細な美しさも持っているのです。
堆錦・月桃万年筆
沖縄の息吹が宿る

デザイン
沖縄の夕暮れ時を思い浮かべてみてください。空は深みのある橙色に染まり、海面には沈みゆく夕日の名残が映し出されています。空と海が溶け合い、まるで一枚の絵画のような幻想的な風景が広がります。月桃の葉は夕暮れの光を透かし、緑のシルエットを描き出し、その影は地面に美しい模様を刻みます。海風が島を吹き抜けるたびに、月桃の葉と花が優雅に揺れ、穏やかに流れる時間の中で自然の調和が感じられます。

琥珀色のベースは、まるで沖縄の夕暮れの色を映し取ったかのような深みのある輝きを放ち、そこに施された月桃の葉の緑と淡い桃色の花が、鮮やかなコントラストを生み出します。堆錦・双龍万年筆や堆錦・ハイビスカス万年筆と同様に、この万年筆も立体的な装飾が際立つデザインとなっており、まるでペンそのものが生命を宿しているかのような印象を与えます。
ボディには、透明な漆が施され、その上に立体的な月桃の葉と淡い桃色の花が美しく装飾されています。琥珀色の透明感と堆錦の立体的な表現が融合することで、この万年筆の美しさはさらに際立ちます。
沖縄と月桃
月桃(げっとう)は、沖縄の文化や風習に深く根付いた植物です。特に「ムーチーの日」として知られる旧暦12月8日には、欠かせない存在となっています。この日、沖縄の家庭では家族が集まり、来る新年の健康と幸運を祈願した後、月桃の葉で包んだ餅を食べます。
ムーチーは、日本の伝統的な米菓子である餅の一種であり、その香りは邪気を払うとされています。そのため、年の瀬には、ほのかに爽やかな月桃の香りが漂っているかもしれません。 堆錦・月桃万年筆は、沖縄の伝統工芸の粋を集めた一本であり、今なお息づく豊かな文化と風習を象徴する存在でもあります。


堆錦・月桃万年筆は、沖縄の伝統工芸の粋を集めた一本であり、今なお息づく豊かな文化と風習を象徴する存在でもあります。
