改めてご紹介シリーズ

誠エボナイト万年筆

日本伝統の「研ぐ」を極める
エボナイト万年筆に込めたワンチャーの美学

万年筆と日本刀はよく似ています。 それは「ペンは剣よりも強し」という言葉から受ける印象だけではありません。 日本刀は切るための、万年筆は書くための道具でありながら、どちらも機能が追求された道具であり、伝統技術が駆使された「総合芸術品」だからです。

日本刀には刃の美しさを極限まで引き出す「砥ぐ」という技術が用いられています。 実はワンチャーの万年筆にも、日本伝統の「研ぐ」そして「研磨技術」が使われています。 手作業の「砥ぎ」ならではの滑らかで複雑な美しさについて、今回はご紹介いたします。

日本刀の研磨技術の哲学に学ぶ

ワンチャーが手作業での「砥ぎ」「研磨」にこだわるのは、そこに日本伝統の美学を見出したからなのです。くすみのない鏡面のような輝きと美しさを得るまでの職人たちの技術の習得には、「日本刀の研ぎ」につながる美学が存在します。

日本刀は人を殺めるための道具ですから、必ず「死の穢れ」が発生します。「死の穢れ」を拭い去るために「拭く」行為、次に「砥ぐ」行為が重視されました。ちなみに「研磨加工で刃先の長い石器を最初に作ったのは日本人だった(『銃・病原菌・鉄』J・ダイアモンド著・倉骨彰訳/草思社2000)」と言われています。

日本刀研磨についての記載が文献に初めて登場するのは平安時代の『延喜式』です。また鎌倉時代の『観智院本命尽(かんちいんほんめいづくし)』には2名の砥師の名前が記載されており、この時代には日本刀の製作工程に「研磨」があり、専門の職人がいたことがわかります。

中世をとおして日本刀の研磨技術は進歩。初代・妙本(みょうほん)」に始まる、足利尊氏に同朋衆(どうぼうしゅう)として仕えた本阿弥家が歴史に登場します。この本阿弥家は、日本刀の鑑定、研磨、浄拭いを家業としました。そして安土桃山時代から江戸時代初期にかけて1人の天才が現れます。その名は本阿弥光悦。陶芸、書、工芸などにマルチな才能を発揮し、美術史に輝かしい功績を残しました。光悦は本阿弥家の分家・光二系の人ですが、本阿弥家は宗家からの分家を繰り返し明治まで続きました。宗家は明治で断絶したものの残った分家もあり、いまも本阿弥の名を継ぐ刀研ぎの名匠がいます。

日本刀の持つ美しさや価値が失われることなく現代まで続いているのは、本阿弥家をはじめとした数多の砥ぎ師たちが日本刀研磨の技術をいまに伝えて来たことにあります。その何世代にも渡る試行錯誤と創意工夫の積み重ねにこそ、日本刀の美しさの真の理由があります。

ワンチャーの万年筆もまた、日本刀のように、日本伝統の「砥ぐ」「研磨する」という手作業と無縁ではありません。万年筆の機能性と美しさを引き出すために、日本刀研磨の哲学と技術から、多くを学んで来たのです。

ワンチャーこだわりの手作業による研磨

ワンチャー定番のロングセラーモデルに「誠エボナイト」があります。この万年筆の素材と加工法についてお話しましょう。

エボナイトは天然樹脂

エボナイトは天然ゴムから作られる天然樹脂です。身近なエボナイト製品にボーリングのボールがありますのでイメージしてみてください。固くて割れにくく、衝撃に強いという特徴があります。実際に薬品抵抗性が高く、劣化や形状変化が起こりにくく、適度な重さと質感を持ち、磨けば光るという万年筆作りに最適の素材です。

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宝石のような輝きを持つ、手で研磨したエボナイト万年筆を

弊社のエボナイト万年筆は、作り手や磨き手、そしてご使用になる方の心を映し出すかのような深く澄んだ輝きを放ちます。そして手にしっくり馴染む質感。日常使いに、プレゼント用に、コレクションに、芸術の域まで高められた磨きの技術で仕上げられたワンチャーの万年筆をぜひお手に取ってみてください。