大分漆 — 新しき産地の誕生|Wancher万年筆
漆芸家・鬼丸真由美さんが大分漆の万年筆軸を手に微笑む
Oita · Japan · 大分

大分漆
— 新しき産地の誕生

The Birth of a New Urushi Origin

Wancher  ·  2025

漆の伝統もなく、職人もいなかった大分の地から、新たな漆芸の産地を生み出す——それがWancherの15年来の夢でした。津軽塗の名門一家に育った漆芸家・鬼丸真由美さんとの出会いが、その夢を現実にしました。

漆産地という、文化的財産

輪島、津軽、会津、越前。これらの名前は、日本を代表する観光地というだけでなく、歴史ある漆の産地——伝統工芸の故郷でもあります。多くの産地では数百年以上前から、文化と技術が途絶えることなく受け継がれてきました。

漆を産む土地には、その土地だけが持つ空気があります。職人の手と地域の風土が重なり合い、他では生み出せない「個性」が生まれる。それが漆産地というものの、本質的な価値です。私たちはこれまでも、産地ごとの特色ある塗を施した万年筆をご紹介してきました。

数百年
各産地が継承する漆の歴史
15年
Wancherが「大分漆」を夢見てきた年月
大分漆の制作工程——漆の塗り、研ぎ、炭粉蒔きの各場面
鬼丸さんのアトリエにて。漆を塗り重ね、研ぎ出し、炭粉を蒔く——それぞれの工程が、一本のペンに命を宿す。

「大分漆」を創りたい — 15年の夢

Wancherの所在地である大分県は、世界でも有数の温泉街として知られています。しかし漆芸においては、伝統も歴史もほとんどありませんでした。漆芸に携わる職人もごくわずかで、産地と呼べる土壌はありませんでした。

しかしWancherは創業当初から、いつか「大分漆」を創りたいという思いを持ち続けていました。これまで漆芸がなかったからといって、これからも不可能であるというわけではない——そう信じて、職人との出会いを待ち続けたのです。

「これまで漆芸がなかったからといって、
これからも不可能というわけではない」

— Wancher, 創業の想い
漆の壺から専用ヘラで漆を掬い取る職人の手元
艶やかな黒漆を丁寧に掬い取る。この積み重ねが、深みのある仕上がりを生む。

漆芸家・鬼丸真由美さんとの出会い

漆芸家・鬼丸真由美さんが制作中の万年筆軸を手に微笑む
Urushi Artist · 漆芸家
鬼丸 真由美

青森県出身。津軽塗職人の父と兄のもとで幼少期から技を磨き、縁あって大分へ移住。独自の炭粉技法を確立し、大分の地で作品を作り続けてきた。その出会いが「大分漆」コレクションを生んだ。

鬼丸真由美さんは、青森県出身の漆芸家です。津軽塗職人の父と兄のもとで、子どものころから自然に漆と向き合う環境で育ちました。縁あって大分へ移住し、この地で作品を作り続けてきた彼女との出会いが、Wancherの夢を現実へと変えました。

「大分漆」コレクションは、職人一人の技術と一つの会社の意志が重なり合ったとき、どのような美が生まれるかを証明する作品です。

炭粉技法 — 大分漆の個性

津軽塗は、鮮やかな色彩と独特な斑点模様が特徴の「唐塗」が代表的な技法として知られています。仕掛ベラという専用道具を用い、様々な色を重ねて研ぎ出すことで模様が浮かび上がります。

「大分漆」コレクションの制作にあたり、Wancherは「津軽塗のようにユニークでありながら、異なる見た目・表現方法となるもの」を鬼丸さんに依頼しました。そこで生み出されたのが、炭粉を主役にした独自の塗技法です。

漆を塗った万年筆軸に炭粉を蒔きつける工程
漆の下塗りが乾く前に炭粉を全体に蒔きつける。この一瞬の判断が、ペンの表情を決める。

炭粉技法のプロセス

1
下地づくり エボナイト軸の表面を削り、艶をなくして漆を密着させやすくする。
2
下塗りと炭粉蒔き 漆の下塗りが乾く前に炭粉を全体に蒔きつける。炭は研磨炭・蒔絵など漆芸では身近な素材。
3
漆の重ね塗りと研ぎ出し 炭粉の上から漆を重ね、丁寧に研ぎ出して模様を浮かび上がらせる。
4
仕上げ:透漆・色漆・螺鈿 最後に透漆をかけて仕上げ。時には色漆や螺鈿を施し、唯一無二の一本を完成させる。

大分漆コレクションの世界

炭色のマットな質感の下から覗く赤い色漆、渦巻状に見える紋様。一本一本が個性的な仕上がりを持ちながら、炭色の落ち着いた雰囲気を損なわない——それが大分漆コレクションの魅力です。

大分漆万年筆「黒山」でノートに書く手元
大分漆万年筆「黒山」。炭の深みの中に宿る、静かな存在感。

万年筆「大分漆」シリーズのほか、Wancherウォッチの「炭螺鈿」コレクションを通じ、大分漆の芸術性はさらなる広がりを見せています。筆や仕掛ベラを用いて描き上げる独自のデザイン——炭色をベースに、濃淡のある黒、色漆、そして螺鈿。そのすべてが、鬼丸真由美さんの手から生まれた唯一無二の作品です。

産地としての未来へ

大分の地で漆芸を極めた職人と出会い、ともに作品を生み出せることは、Wancherにとって大変光栄なことです。私たちがこの地に蒔いた漆の種が根付き、いつか輪島や津軽と肩を並べる産地のひとつとして認められる日が来ることを、心から願っています。

漆の伝統は、ある日突然生まれるものではありません。職人が地に根を張り、年月をかけて技術と評判を積み重ねることで、初めて産地と呼ばれるようになる。「大分漆」はまだその始まりに過ぎませんが、それは確かな、力強い一歩です。

「いつか大分が、日本を代表する
漆の産地と呼ばれる日のために」

— Wancher

大分漆コレクション

鬼丸真由美さんが生んだ
一本を、手に取る

炭粉技法が生み出す、唯一無二の表情。大分漆の万年筆コレクションは、書くたびに産地の物語を感じさせます。

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大分漆 鬼丸真由美 漆芸 炭粉技法 万年筆 津軽塗 日本伝統工芸 Wancher Oita Urushi
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Wancher チーム
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