ハートの女王
『不思議の国のアリス』(ルイス・キャロル、1865年)に登場する苛烈なハートの女王を彷彿させるこの万年筆は、激しく情熱的な魅力と繊細で優美な美しさを兼ね備えています。 物語では、ハートの女王は気まぐれな支配者として描かれており、彼女の口癖である「首をはねよ!」がその性格を際立たせています。 しかし、彼女の夫であるハートの王が人々を赦し、処刑を取り消すことで、女王の過激な荒々しさを和らげています。 この万年筆では、女王の持つ激しさと対になる王の穏やかさ、賢明さを表現することを目指しました。 荒々しくも力強い美しさと、泰然自若とした凛々しい美しさ、相反する魅力を兼ね備えています。
デザイン
クイーンオブハートのキャップには「赤」を、ボディには「黒」を配色しました。
赤は情熱と威厳を象徴し、黒は力強さと不屈の精神を表現しています。そして、それぞれを繋ぐ「銀のリング」は、永遠の結束を象徴しています。
中世ヨーロッパ、特にフランスやイギリスの王族において、「赤」は王権と権威の象徴とされてきました。実際、ヴィクトリア女王が王族以外が赤や紫を着用することを罰しようとしたという噂があったほどです。現在ではそのような時代は過ぎ去りましたが、「赤」は依然として威厳ある色として位置づけられており、新たに即位した国王や女王が赤いマントを纏うのが通例となっています。
黒いボディには、澄んだ夜空に浮かぶ星座を思わせる繊細な銀の粒子を散りばめました。そして、ペンの底部もキャップと同じ赤を配色、これはフランスのカール大帝にちなんだデザインです。彼が戴冠式で赤い靴を履いたのは、自らの統治権とその力強さを示すためでした。
また、18Kのロジウムメッキ仕上げのペン先は、支配者の剣のような優雅さと力強さを表現しています。
そして、トランプに描かれているハートの女王を思い起こしてください。トランプの絵札はどちらの方向からでもわかりやすい鏡像で描かれています。
つまりクイーンオブハートは、キャップをポストしても見た目のデザインが変わらない配色になっているのです。